2026年5月度月間全国通販番組放送枠数
商品別ランキング主要各社が展開する「初夏の出稿戦略」と番組枠再配分

本ランキングは、独立放送局を含む日本全国の地上波およびBS主要8局の計135局を対象とした網羅的な全数データであり、2021年から継続的に発表しているテレビ通販市場の全体像を表す日本で唯一の指標です。今回、本格的な初夏商戦に向けて活発に動く市場の動向を調査するため、2026年4月度および5月度の放映ログデータを精査したところ、主要通販各社による季節変動に連動した緻密な「ポートフォリオ(商品配分)戦略」が見えてきました。

【資料】4月 ➔ 5月度 月間全国通販番組放送枠数、商品別ランキング トップ20

オークローンマーケティング「初夏の面展開」:豆乳メーカー、冷風扇、健康雑貨の全方位投下

4月から5月にかけて、番組枠を最も戦略的に運用した企業の一つが、ブランド「ショップジャパン」を展開するオークローンマーケティングです。同社は、大ヒットしている通年商材の豆乳メーカー「ソイリッチ」を、4月(899回)、5月(882回)ともに月880回以上の高い水準で維持し、電波上のベースラインを完全に確保しています。その上で、初夏特有の購買心理を狙った季節商材を一斉に投入しているのが特徴です。

代表的な例が、卓上ミニ冷風扇「COCOHIE ヒンヤリ快眠」の出稿急増(16回 ➔ 457回)です。ネット上のレビュー等でも『エアコンをつけるほどではない5月〜6月に最適』『電気代が安くて重宝する』と、初夏に検索数が急上昇する定番商品ですが、本格的な猛暑が始まる前のこのタイミングで番組枠を大量に確保し、購入を検討している層を先行して獲得する動線が機能しています。

さらに同社は、衣替えのシーズンを前に体型や姿勢への意識が高まるタイミングに合わせ、健康雑貨「マイキュット」の出稿も5月に598回(前月比約2倍)へと急増させました。大都市圏の地上波独立局(TOKYO MXやサンテレビなど)の枠を軸に、自社スマートフォンアプリへの誘導を強化する動きもみられます。

ディーニーズ「内から外へ」:掃除用品から外出・薄着向け補正下着への転換

一方、出稿商品の「引き潮と満ち潮」を最も鮮やかに使い分けたのがディーニーズです。同社は4月に、主力掃除用品「シュワッ!とパンチ」を729回(2位)という高水準で出稿していましたが、5月に入ると572回(-157回)へと縮小しています。

そして、その浮いた番組枠のリソースを、夏用の補正インナー「グラマーシェイプ クールリッチ」へときれいにスライドさせ、4月の348回から5月は611回(+263回)へと倍増させました。消費者の関心が、春の「家の中の片付け・大掃除」から、GW以降の「外出や薄着に合わせた体型カバー(涼感特性)」へと外に向かうタイミングを見計らい、番組枠の比率を完全に逆転させたものと推測されます。ネット上でも『蒸れずに引き締まる』といった口コミが定着する時期であり、生活者の心理トレンドを捉えた見事な入れ替え戦略といえます。
このように、初夏に向けたスタイルアップへのアプローチにおいて、オークローンマーケティングの「マイキュット」と、ディーニーズの「グラマーシェイプ クールリッチ」が、それぞれ異なる製品特性を持ちながらも、5月に需要を急速に伸ばしている実態がデータから確認できました。

番組枠の衣替え:新生活家電から初夏ハウスホールド製品への移行

また、データはテレビ通販全体における「番組枠の再配分」の動きも明確に示しています。ジャパネットたかたは、4月に553回(8位)と大きな存在感を示していた「東芝 エアコン 大清快」の30分番組枠を、5月に入ると69回へと急減させています。これは、3月〜4月の「新生活・引越し」に伴う春の家電需要が一区切りついたためと考えられます。

しかし、同社はこの枠をそのままにせず、5月の梅雨入り直前のカビ・湿気対策となる「帝人フロンティア ベルオアシス 収納ケースプレミアム(898回)」や、ネット上で『夏に火を使わず涼しく調理できる』と評判の「MUK レンジメートプレミアム(562回)」へと即座に切り替えました。需要の波に合わせて柔軟に商品をスイッチしていく戦略が、データ上の激しい順位変動の背景にあります。

データ分析がもたらす戦略的示唆

4月と5月の比較分析がもたらす最大の示唆は、『他社のメディア戦略が切り替わる隙間を先読みすることの重要性』です。実際にオークローンマーケティングやディーニーズは、そのタイミングを逃さずに「冷風扇」や「夏用スタイルアップインナー」などの出稿を強化し、生活者の初夏のニーズ(火を使いたくない、姿勢や体型をケアしたいなど)と完全に連動させて確固たるシェアを築いています。

この4月・5月の対比データは、単なる過去の記録ではありません。
今後の出稿エリア選定や、大都市圏の独立局と地方ローカル局の出稿バランスにおいて、他社の動向を把握し、自社の費用対効果(ROI)を最大化させるための強力なベンチマークとしてご活用いただけます。

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